3,000円でボルドーを語るなら、まだこの一本 — シャトー・モン・ペラ

おすすめワイン

……と、シリーズ4回目まで書いて気づいたのですが、わたし、5万円の道具や1万円のシャンパーニュの話ばかりしていましたね。今日は火曜の夜にコルクを抜ける値段の話をします。3,000円前後のボルドー、シャトー・モン・ペラです。

オスピス・ド・ボーヌの色彩屋根の中庭

漫画が変えた、一本の運命

このワイン、日本ではちょっとした伝説を持っています。ワイン漫画『神の雫』の第1巻で、あの高級ワインの代名詞オーパス・ワンと並べて語られ、翌日から日本中の酒屋で売り切れた——という逸話です。当時、フランス側から見ていても「日本で何が起きているんだ」という騒ぎでした。漫画がワインを動かす国、日本。わたしはあれで、この国の読者を心底好きになりました。

造っているのはボルドーのデスパーニュ家。メルローを主体に、著名な醸造コンサルタントが関わる、いわば「小さな畑の優等生」です。濃い黒系果実にバニラ、価格を思えば立派すぎる厚み。冷房を効かせた部屋で、少しだけ冷やして飲む8月のモン・ペラは、パリの残暑の夜のわたしの定番でした。

期待値の話を、正直に

ただし、正直に書きます。「オーパス・ワンと張り合う」はあくまで漫画の中の演出です。その期待で開けると「言うほどでは」となる——実際、そういう感想も一定数あります。これは3,000円で買える、よくできたボルドー。それ以上でも以下でもなく、そしてそれが一番えらいのです。日常の食卓で、ラベルに物語があって、外さない。手土産のセカンド候補にもなる。3,000円のワインに求めるものを、全部持っています。

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5日間の「パリ発、ワインのある暮らし」、今日でひと区切りです。道具がふたつ、グラスがひとつ、泡がひとつ、赤がひとつ。どれもわたしが自分のお金で買い、自分の暮らしで使ってきたものだけを並べました。さて。今夜は久しぶりに、コラヴァンを使わずに1本、最後まで開けようと思います。

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