会食が苦手だと打ち明けてくださる経営者の方は、実は少なくありません。むしろ、背負っているものが大きい方ほどそうおっしゃる気がします。原因を聞いていくと、かなりの割合でこう続くんです。「ワインのマナーに自信がなくて」。
安心してください。会食で本当に必要なワインマナーは、5つだけです。減点をなくす5つの型。今日はそれだけ持ち帰ってください。
型1: グラスは「脚」を持つ
ボウル(ふくらみ)ではなく脚を持つ。理由は体温でワインを温めないためですが、正直に言えば「所作が美しく見える」効果のほうが大きいです。これだけで写真映りまで変わります。
型2: 注がれるとき、グラスは持ち上げない
ビールの癖でグラスを持ち上げたくなりますが、ワインは置いたまま。ソムリエが注ぎやすく、こぼれるリスクもありません。手はグラスの底に軽く添えるか、膝の上で大丈夫です。
型3: 乾杯で、グラスを当てない
いいワイングラスは驚くほど薄く、当てると本当に割れます。グラスを目の高さに上げ、相手の目を見て微笑む。これが正式な乾杯です。白状すると、わたしは渡仏1年目にグラスを当てにいって、隣のマダムにそっと微笑まれました。あの優しい微笑み、10年以上経ったいまも忘れられません。
型4: ホストテイスティングは「味の審査」ではない
最初に注がれる一口は、おいしいかどうかを審査する儀式ではなく、ワインの状態に問題がないかの確認です。だから感想を言おうと頑張らなくていい。ひと口含んで「結構です、お願いします」。この一言で完璧です。
型5: 飲めないときは、最初のドリンクで一言
体質やドクターストップで飲めない方は、隠すほうが後で苦しくなります。乾杯の前に「今日はノンアルコールでご一緒します」と一言。注がれそうになったら、グラスの縁に軽く手をかざせば、世界中どこでも通じます。飲まないことは失礼ではありません。黙って残すほうが、よほど伝わってしまいます。
まとめ — マナーは加点ではなく、減点を消すもの
ワインマナーで会食の評価が上がることは、ほとんどありません。でも、気にしながら過ごす2時間は、あなたから会話の集中力を奪います。5つの型は、あなたが本業(目の前の相手)に集中するための道具です。
次回はシリーズ最終回、「外さない贈答ワインの選び方」。相場と、わかる人に伝わる一本の話です。


