夏だ!ワインだ!収穫だ! ブルゴーニュワイン漬けになって学んだ造り手にとっての「収穫」とは

ワインのあれこれ

ワインは好きだけど、なんとなく作っているイメージが湧かなくて・・・。

ワイン造りに欠かせない、しかもワイン業界関係者を最も賑わせる話題が収穫!たくさんの写真でイメージを膨らませて、どんなこだわりでワインを造っているか覗いてみよう。


こんにちは、ワイン・シャンパーニュコンサルタントの浅野ゆり(@YuriAsano_Wine)です。

そろそろ本格的な夏になりましたが、どうお過ごしでしょうか?

今年はフランスは冷夏のため、収穫時期が大幅にずれるのではないかと産地ではもっぱらその話題ばかりです。

先月も、3年前に研修に行っていたブルゴーニュに遊びに行っていましたが、通常よりも大分生育スピードが遅くて「畑作業が遅れてみんなバカンスに行けなくなってしまうのでは?」と気の毒に感じたのを覚えています。(フランス人にとってバカンスは年間の最重要イベントなので)

前置きが長くなってしまいましたが、本日の本題の収穫について。私はフランスのワイン国家資格を取る前に、どうしても「実際にどうやってワインを造っているのか、この目で見てみたい。造ってみたい。」という気持ちがありました。


学生でしたので大したコネクションもない中で、現地(ブルゴーニュ)に住んでいなければ基本的にお断りされるワイン造りの研修先がやっと見つかり、約半年間ブルゴーニュのとあるドメーヌにお世話になっていました。

その時に学んだドメーヌ経営者としての視点や、ワイン造りにまつわる小ネタを交えて、この記事がワインラバーのあなたにぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです♪


ゆり
ゆり

今は日本人の働きぶりが評価されて、受け入れ先もだいぶ見つかり易くなっているみたいです。

ブルゴーニュワインの美味しさは、まさにドメーヌの「マネジメント力」にかかっている

何のことやら?と思われるのも無理はありません。一見、ワインの味わいとは関係なさそうなマネジメント能力、実はドメーヌでも非常に大事なのです。

1年のうち一番人手が必要な収穫時期。どこのドメーヌも血眼になって収穫人を探します。(特に手摘み収穫にこだわっている造り手)

みんながドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ であれば問題なく見つかるのですが、そうもいかず、小規模生産者にとっては知り合いのコネクションを辿ったり、提供する昼食を美味しいと評判のシェフにお願いしたり、収穫の準備段階でもぬかりなく行わなければいけません。


ゆり
ゆり

特に食事の美味しさが、次の年の収穫人確保に多大に影響すると聞いたときは、さすがフランスと思いました(笑)

毎年収穫している人たちは早いだけでなく、収穫の流れの要領も分かっているので各チーム内のリーダーシップを取って率先的に仕事を片付けたり、新入りのチームメイトにやり方を教えてあげている様子を見かけました。

リピート率が高い地元の人はとっても優遇されます。


しかし、人員はそれだけでは足りないため他の国から季節労働者を受け入れる(主にスペインから)必要もあります・・・。

その場合は住居を確保しなければいけないのですがフランスでは現在、収穫で人を雇う際に一人当たり寝床を確保しなければならないことが法律が決まっているので、そこがネックでなかなか求人に踏み切れないドメーヌもあります。

高度なマネジメント能力がないと、ひとつの小さいドメーヌで事務1人~2人の体制のなかで全てアレンジするのは大変ですよね。ワインの輸出業務や試飲会参加の準備などと並行して行うわけですから・・・。


収穫前から事件は現場で起きている(収穫にまつわる準備もろもろ)

醸造所の様子。手前は赤ワイン用の発酵桶。左にあるのが白ワイン用ステンレスタンク。

収穫の前には、ブドウの圧搾機の点検・調整や ブドウジュースを発酵させる大樽の洗浄、 キューヴイノックス(ステンレスタンク)のお掃除、作業がしやすいように醸造所内の配置換えなど山ほどあります。

大桶の大きさはこのくらい。高圧の水をジャンジャンかけて洗います。

樽の消毒。鉄の棒の先に付けた白いチップはSO2です。

これに火をつけて樽の中に暫く置き樽の中を消毒します。カーヴの中で行うのですが、この作業はとっても目が痛くなります💦

私たちワイン輸出業も、収穫前後の時期にはワインの注文も控えるほど、(事前にわかっている分は早めに注文したり)この時期は緊張感が漂っています・・。

いざ収穫!ブドウ収穫人の1日のスケジュールを大公開♡

陽が昇る前に収穫人は動き出します。まず、朝6時にドメーヌに集合し、皆でトラックにて畑に向かいます。

まだ薄暗い中、ハサミをもって畑にアタック!(この時に必ず雄叫びを上げるのは生粋のブルギニオン) 手早く切るために、皆中腰で切っていきます。

だんだん太ももと腰に負担を感じますが、遅れてしまうとみんなの迷惑になるため地味に必死💦 畝を挟んで他の人とペースが一緒になると、お互いのハサミで手を切らないかヒヤヒヤ気を付けながら切っていきます。

この方が背中にしょっている篭には「パニエ」という名前がついています。 ブドウを集めてトラクターに乗せてくれるパニエ係は、主に男性の役割。

パニエは重いものだと50キロくらいのブドウ🍇を入れられるため、腰を労わりたい年配の方はこまめにトレーラーに中のブドウを移動させていました。

私も小さめのパニエで挑戦しましたが、重いだけではなくてブドウの汁が首筋にかかったり結構ハードでした💦


なんだかんだで朝食隊が10時頃にやってきて、白ワインとサンドイッチを手にしながら朝日に照らされる美しいブドウ畑を見つつ贅沢なひとときを楽しみます。(その後はベッタベタな手で作業再開 笑)

ただし、畑によってもブドウの完熟度が違うので、作業の進み具合を見ながらフレキシブルにチームを配置する必要があります。ここではドメーヌの栽培責任者の腕の見せ所です。

コルトンの丘での収穫風景
熟したブドウは出来るだけ早く醸造所に運び、白葡萄の場合はすぐに圧搾機にかけてプレスします。
時間がたつとブドウジュースはすぐに酸化してしまうため、時間との勝負なのです。
ドメーヌの醸造所の近くに畑があるというのは、かなりの優位性になります。

日中は陽がのぼり暑すぎるので、12時~16時くらいまではお昼ごはん&選果の時間です。
ベルトコンベアに乗せられたブドウの房から、腐ったり日に焼けてしまった部分を取り除き、美味しいブドウのみ選んでいきます。

その後にみんなでボチボチ畑に戻り、疲れた身体に鞭を打ち、時々ブドウを味見しながら収穫の日々が過ぎていきます。(ドメーヌにもよりますが一週間~10日くらい)

最終日はお祭り騒ぎ!ポレ(Paulee)でブドウの豊作とワイン造りの無事を祈って収穫終了

最終日には、トラクターにお花をかざり、収穫人もブドウの樹のツルで作った冠をかぶりながら村を練り歩きます。

ドメーヌによっても最終日にばらつきがあるので、9月の収穫時期終わりごろにはほぼ毎日と言っても良いほどこのパレードが練り歩き、小さな村中がワクワクとした気分に包まれます。

今年はフランスは冷夏のため収穫時期が遅くなると予想されていますが、今年はどんな年になるでしょうか・・・。
どうか、良いワインが出来ますように(^^)

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